
始めまして!
一級建築士のペディです!
一級建築士の学科試験の計画について
重要ポイントを解説してます!
・一級建築士試験を控えている方
・計画を初めて学ぶ方
・事務所のどこを覚えたらいいのか知りたい方
・事務所建築について知りたい方
目次
1.事務所
重要ポイント!
1) レンタブル比
レンタブル比=事務室の有効面積㎡/延べ面積㎡ × 100 %
① 建築物全体の総床面積に対する場合:65~75%
② 基準階床面積に対する場合:70〜85%
2)コアシステム
① センターコア:
・大規模ビル向き
・2方向避難の確保が難しい。
・レンタブル比が高く、構造的にもバランスがよい。
② 分散コア
・中規模ビル向き
・2方向避難の確保が容易
・階を分割する貸事務所は、レンタブル比が低下する。
③ 偏心コア
・中小規模ビル向き
・2方向避難の確保が難しい。
・レンタブル比は高いが、構造的にバランスが悪い。
3)基準階計画の基本
① 事務所ビルのモデュールは、一般に、3.0~3.6m程度
② 基準階の階高は3.3~4.2m程度。天井高は2.6~3.0m程度
4)事務室の計画
① 事務室1人当たりの床面積は8~12m程度。会議室1人当たりの床面積は2~5m程度
② 事務室の奥行:
・片側採光の場合は10~15m程度
・両側採光の場合は25~30m程度
③ ローパーティションの高さ
・110cm:椅子に座った状態でも見通しが利く
・120cm:椅子に座った状態で見通しを遮る
④ フリーアクセスフロアの高さは、一般に、8~15cm程度
5) エレベーター計画
① エレベーターの台数算定は、ピーク時5分間の利用人数によって決められる。
② 高層ビルの場合、エレベーターを高層用、中用、低層用などに分け、各々にバンクを設けて、中間には乗り継ぎ階を設ける。各ゾーンのサービスフロアは、15階以下とする。
③ 平面配置は1列に4台以下とし、5台以上の場合は対面配置が望ましい。
④ 同一運行系列(1グループ)で対面配置する場合の対面距離は、3.5~4.5m程度、低層用と高層用の2グループの場合の対面距離は、6~8m程度
所有形態からの分類
自社ビル:建築物の所有者、管理者などが全館を専用で使う(専用事務所)
区分所有ビル:複数の企業が資金を出し、区分して使用する(準専用事務所)
貸ビル:建築物の所有者が、賃貸を目的とする貸用ビル(貸事務所)
レンタブル比
事務所建築において、総床面積または基準階面積に対する貸室床面積の比をレンタブル比といい、計画の重要な指標である。
レンタブル比 =(事務室の有効面積㎡ / 延べ面積㎡)✕ 100%
執務空間の機能性、居住性を確保しながら、レンタブル比をできるだけ高めるように計画することが要求される。
レンタブル比には2種類あり、
① 建築物全体の総床面積に対する場合
② 基準階床面積に対する場合
一般に貸事務所における①は65~75%、②は70~85%であり、自社ビルは、この値よりも低い。
コアシステム
コアには、階段、エレベーター、便所、給湯室、たて系統の設備スペースなどを配置する場合が多い。
コアの配置によって、構造上の合理性を高めるとともに、避難の方向性、多方向避難の可能性など避難経路の計画が支配される。
最適なコアタイプは、基準階の面積規模によって異なり、センターコア、オープンコアは大規模、分散コアは中規模、偏心(片寄せ)コア、分離コアは中・小規模に適している。
センターコア
〇種類:中央廊下型、外周廊下型
〇基準階の面積基準:1,500〜4,000 ㎡
〇長所
・建物の重心と剛心のずれかなく、構造上望ましい。
・事務室のフレキシピリティや面積効率がよい。
・事務室のコア間の動線は短くすることができる。
〇短所
・コアが外気に面していないので、避難経路対策と総排気ルートが複雑になる。
・二方向避難計画が難しいこともある。
・外観は画一的になりやすい。
オープンコア
〇種類:中央廊下型、外周廊下型
〇基準階の面積基準:500〜4,000㎡
〇長所
・避難経路、給排気ルートについてセンターコアタイプの欠点を解消できる。
・中央風下型は、外周部下型よりも高いレンタブル比が得られる。
〇短所
・事務室はコアによって分離されるので、ある程度以上の広さを必要とし、出入口も制限される。
・避難経路はエレベーターホールを経由することになりやすい。
分散コア
〇基準階の面積基準:1,000~1, 500 ㎡
両端コア型
〇長所
・両面採光の大空間が確保できるとともに、間仕切りもフレキシブルに対応できる。
・理想的な二方向避難計画ができる。
〇短所
・コアの間隔が大きくなると中央部の耐展性の検討が必要となる。
・階を分割する貸事務所は、廊下を必要とし、レンタブル比が低下する。
・広い基準階で廊下が必要な場合等は日常動線が長くなる。
分散コア型
分散コアのうち、大規模の建築物に採用されることが多い。
〇長所
・両端コアのほかにコアをバランスよく配置すれば、構造、設備、防災の各計画上有利である。
〇短所
・多方向に避難ができるが、日常動線と分離されることもある。
偏心コア
〇基準階の面積基準:500〜2,000㎡
〇長所
・床面積があまり大きくない場合は有利である。
〇短所
・重心と心を一致させ、偏心を防ぐ必要がある。高層化は避難上好ましくない。
・床面積が大きくなると別に避難施設などが必要となる。
・避難階段はできるだけ分離する必要がある。
分離コア
〇基準階の面積基準:500〜2,000㎡
〇長所
・偏心コアタイプの変形である。
・コアは必要に応じた形で計画できる。
・整形な執務空間が確保できる。
〇短所
・耐震構造上不利である。
・コアの接合部の変形については検討を必要とする。
・エキスパンジョイントを設ける等の検討が必要である。
複合コア
〇基準階の面積基準:2,000~4,000㎡
〇長所
・基本のコアタイプの組み合わせである。
・大型の事務所に適している。
〇短所
・構造コストが上がる。
基準階
一般に、経済性を重視する事務所建築では、寸法の合理化、平面計画におけるフレキシビリティ、構法、材料の簡素化などに配慮する。
水平方向の主な寸法
・柱スパンは、一般にRC造で6~8m程度が経済的とされている。
・事務用機器などの配置や事務室の間仕切り方法、廊下や通路幅などは、法規や人体寸法、執務動作の寸法などにより決められる。
・事務所ビルのモデュールは、一般に、3.0~3.6m程度のものが多い。
垂直方向の主な寸法
・一般に、基準階の階高は3.3~4.2m程度、天井高は2.6~3.0m程度、天井ふところは0.7~1.2m程度である。
・1階および最上階の階高は、一般に、基準階よりも高くなる。
・はり下端より天井下地までのクリアランスは10cm以上必要である。
専用部分の計画
事務室
〇床面積:
机・椅子などの配置によって決まるが、一般に、1人当たり8~12m程度である。
〇奥行き:
柱スパンに左右されるが、奥行きは片側採光の場合10~15m前後、両側採光の場合25~30m前後がよく用いられる。
〇机配置
・対向式:
面積効率が高い。コミュニケーションを必要とする場合に適する。
・同向式(並行式):
面積効率は対向式より劣る。対面する視線がなく、適度なプライバシーを保てる。
・スタッグ式:
コミュニケーションとフライバシーの双方を必要とする業務に適する。
オフィスレイアウト
オフィスランドスケープ
オフィスレイアウトのひとつで、固定間仕切りを使わず、衝立式のローパーティション、家具、植物等を用いて執務者の適度なプライバシーを確保しつつ、事務所内の空間を自由に構成する手法である。
〇パーティションの高さ
110cm:椅子に座った状態でも見通しが利く
120cm:椅子に座った状態で見通しを遮る
150cm:立ったときの視点とほぼ等しく、まわりが見通せるので圧迫感が少ない。
160cm:座位に適したディスプレイ面や収納棚がとれる。
180~210cm:人の動きを視覚的に遮るとともに、他からの視線を意識する必要がなく、プライバシーが侵害されにくい。
フリーアドレスオフィス
・社員が特定の座席を持たずに、図替館の開覧室のように、利用時に空いている席を自由に使うことを可能とする合理化されたオフィス形式である。コミュニケーションの活性化が図れるとともに、社員それぞれが自分のペースで仕事に取り組むことができる。
・本来の目的は、不在者の席を在席者が使うことにより、オフィスの面積をより有効に使用することであるため、在席率が高い場合には適さない。
・フリーアドレスの実現には、在席率50~60%以下であることや在籍者の理解と意識の高さ、また、席の共有・移動を実現する工夫が必要とされる。
事務室の室内環境
照度
・事務室の机上面照度は300~750lxを標準とし、細かい視作業を伴う場合は500~1000lx程度である。
・省エネルギー化により、タスクアンビエント照明が多くなっている。
タスクアンビエント照明は、局部照明の1/3~1/10照度の全般照明を併用する方式である。
・局部照明は、一般に、全般照明の照度より高く設定する。
・パソコンのディスプレイ面に過剰な光が入射すると表示画面の文字や図形とその背景との輝度比が低下して文字や図形が見えにくくなる。
これを避けるため、ディスプレイの鉛直面照度は水平面照度より低くする。
・VDT 作業では、画面上の照度が100~500xの範囲であることが望ましい。
・視対象面の明るさにむらがあると視覚疲労につながるので、作業領域の均済度が低くならないようにすることが望ましい。
室内許容騒音
小事務室で40~50dB以内、大事務室では45~55B以内が推奨値である。
インテリジェント化の留意点
・インテリジェント化とは、オフィスオートメーション(OA)、ビルティングオートメーション(BA)などの導入を徹底させて、情報機能の効性、空間の快適性、安全性を高めるこという。
・事務室のOA化に対応するためには、コンセントの負荷設備容量は、床面積1m当たり、30~50VA(W)以上を確保する。
・OA化した事務室の床は、竜気配線を考慮して、床を二重味とし、その間を配線スペースとするフリーアクセスフロアを採用することが多い。
・フリーアクセスフロアの高さは、一般に、8~15cm程度である。ただし、床味出し空調に利用する場合は、20~30cm程度確保する。
会議室
・机の寸法、隣の席との間隔、通路寸法、スクリーンや演との関係等のレイアウトに応じて設定されるが、一般に、収容人員1人当たり2~5m程度が目安となる。
・会議では、スクール(同向)型、コの字型、口の字型での机配置が一般的簡定である。人数が多く情報伝達が主目的の場合はスクール型、討議や討論では、画面の大きさはロの字型が採用される。
・少人数でスクリーンがある場合にはコの字型となる。
共用部分の計画
エレベーター計画
エレベーター必要台数
・必要台数の算出は、事務所のエレベーター利用の最大ピーク時の5分間の利用人数によって決める。
一般に、利用のピークは朝の出勤時である。
・この利用人数は、貸ビルでは在籍人数の15%前後、自社ビルでは20~25%程度とされている。
・概算的には、事務室面積2,500~3,500mに1台程度とされている。
エレベーターのバンク分け、ゾーンサービス
・高層ビルの場合、エレベーターを高層用、中層用、低層用などに分け、各々にバンクを設けて、中間には乗り継ぎ階を設ける。
・各ゾーンのサービスフロアは、15階以下とする。
エレベーターの配置
・主出入口の近くに集中して配置するのが能率的である。
・台数が多い場合は対面配置とし、直線上に5台以上配列することは好ましくない。
・エレベーターホールの奥行きは、エレベーターのかごの奥行き以上とする。
・同一運行系列で対面配置する場合の対面距離は、3.5~4.5m程度
・低層用と高層用の2グループの場合の対面距離は、6~8m程度とする。
エレベーターの速度
待ち時間、目的階への到達時間などを考慮して決定するが、8~15階の場合で150~180m/min、15~28階の場合で210m/min、28~30階の場合で240m/min、30~35階の場合で300m/min、35~40階の場合で360m/min程度が適切とされている。
エレベーターの運行方式
〇コンペンショナルゾーニング方式:
建物の階を何層か毎のゾーンに区切り、それぞれのゾーンに違うエレベーター群を割り当てる方式
〇ダブルデッキゾーニング方式:
2階建てのエレベーターかごによって、奇数階と偶数階とに同時に利用者を運ぶ方式、昇降路スペースを拡げずに輸送能力を大きくできる。
〇スカイロビー方式:
全階層を2~4グループに分け、そのグループの接点にスカイロビーを設け、急行エレベーターとローカルエレベーターとを併用する方式
共用便所の計画
・衛生器具の個数は、男女別の想定利用人数と待ち時間に対する利用者の評価であるサービスレベルにより定めることがのぞましい。
・サービスレベルとは、待ち時間に対する利用者の評価である。
便器の数の目安
①男子大便器:60人以内ごとに1個以上
②男子小便器:30人以内ごとに1個以上
③女子便器:20人以内ごとに1個以上
洗面台の高さ
靴履きおよび水のすくいやすさや肘への水垂れを考慮して、75~80cm程度とする。
受付カウンター
・受付カウンターは、出入口に近い位置に設ける。
高さは、椅座位の人で70~75cm程度、立位の人で90~100cm程度とする。
・設備機械室の面積は、延べ面積の5~8%とする。
電気シャフトやパイプスペースなどの設備スペースは、保守・点検を考慮して共用廊下から直接出入りできることが望ましい。
風除室
屋外側と屋内側の対面する自動ドア(引戸)が同時に開放しないようにするために、風除室の奥行きは4m程度確保することが望ましい。
多様な働き方
近年、通勤混雑の緩和や新型ウィルス等の感染症の拡大防止による影響もあり、多様な働き方への取組が急速に進んでいる。
テレワーク
ICT(情報通信技術)を利用し、場所や時間を有効に活用できる柔軟な働き方である。
ICTをつかって仕事をすることで、本拠地のオフィス以外の場所でも仕事ができるスタイルを示す。
ABW (Activity Based Working)
・業務内容や気分に合わせて、働く場所と時間を自由に選択できる働き方を示す。
・事務所内においては、打合せに適した場所、個人的な作業に適した場所など、業務に合わせて選択できる多様な場所を計画することが求められる。
シェアオフィス、コワーキングスペース
・共同利用するワークスペースがあり、フリーアドレス形式の座席配置が主体となっている。
・法人利用だけではなく個人事業主やフリーランサーあるいは地域住民などの利用も多く見られる。
・利用者同士が交流を図り、コミュニティを形成しやすく、スキルアップのためのセミナーや交流イベントなどにも利用されることもある。
・カフェや保育施設などを併設するものも増えている。
2.過去問
- H29 大規模で高層の事務所ビルの防災計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 非常用エレベーターの乗降ロビーは、消防隊が消火活動拠点として利用するため、その面積は、非常用エレベーター1台につき15m以上と定められている。
- エレベーター、階段等を含むコアの配置のうち片寄せタイプについては、一般に、避難上不利な点が多く、その採用に当たっては、シミュレーションや実験等により安全性を確認することが望ましい。
- 火災の拡大を防止するためには、出火の可能性が高いエリア(部分)に、防火上有効な区画を設けるとともに、初期消火設備の設置や不燃性のある建築材料を使用することが求められる。
- 屋上に緊急離着陸場を設けた場合、そのスペースは、在館者の救助に使用されるとともに消防隊の突入時にも利用される。
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非常用エレベーターの乗降ロビーの床面積は、非常用エレベーター1基について10m以上とすることと定められている。
- H28 事務所ビルの計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 事務室内のヘビーデューティーゾーン(重荷重ゾーン)の床の積載荷重を、2,300N/miとした。
- 事務室内のフリーアクセスフロアの高さを、100mmとした。
- 事務室内の照明計画において、アンビエント照明の照度を、500lxとした。
- 基準階の事務室の床面積を1,000mとする貸事務所ビルの計画において、男子小便器3個、男子大便器3個、女子便器4個とした。
答えと解説 ※▶をクリック
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事務室の床の積載荷重は、当該建築物の実況に応じて計算しない場合、2,900N/㎡以上としなければならない。ヘビーデューティーゾーン(重荷重ゾーン)の床の積載荷重は、計画によって約500kg~1t/㎡程度を想定しており、2,300N/㎡では明らかに不足している。
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