学科Ⅰ(計画)/”医療施設”について解説!重要ポイントをしっかり覚えよう!

一級建築士試験

ペディです
ペディです

病院と診療所の違いは分かりますか?

違いの一つとして、有床数があります。

建築基準法上では、20人以上の患者を入院させるための施設を有しているもの、「病院

それ以外のものを「診療所としています。

今回は、その中でも病院について詳しく学んでいきましょう!


こんな方にオススメ!

・建築士試験を受験しようとしている人!

・建築学生!

・極力、お金を掛けずに建築の勉強しようと思っている人!

医療施設

1)全体計画

重要単語

LDRシステム(Labor Delivery Recovery):
陣痛、分娩、回復を一室で行うシステム。

ADL訓練(日常生活動作訓練:Activities of Daily Living 訓練):
理学療法・作業療法の成果を進め、日常の生活動作に応用する訓練。

PPC方式(段階看護:Progressive Patient Care):
患者を病状に応じて段階的に分け、患者に合った看護の水準を確保し、看護の質を高めるもの。

PCU (緩和ケア病棟:Palliative Care Unit):
治癒不可能な疾患の終末期にある患者および家族のための緩和ケアを行う病棟。

院内学級
慢性の疾患などで6ヶ月以上の入院などが必要な児童が教育的な支援を受ける。

中央材料室
手術部・病棟部・外来部などで使う器材の滅菌を担当する室。手術室の近くに設置する。

SPD (物品管理センター:Supply Processing Distribution):
中央材料室を含め、病院内で使う物品をすべて一元的に管理・供給するセンター成

ブロックプラン

① 分館式(パビリオンタイプ)

・診療各科別に独立棟とする分館方式であり、感染防止を目的としたものである。

・日照、通風などの環境条件と防災面では優れているが、特殊な病院以外では見られない。

② 集約式(ブロックタイプ)

・各部門を一つの建物に集約したものである。

・同程度の延べ面積であれば、機械による各部門への物品搬送は、平面方向に比べて垂直方向の方が動線計画が容易であり、一般に、低層とする計画に比べて高層とする計画のほうが容易になる。

・高層の病棟と低層の診療棟という組み合わせも一般化している。

増改築が多い診療部門では、機能拡張に対応した増改築が可能なように、平面計画においては基壇型よりも多翼型が採用されることが多い。

2)外来部

・患者が通院しながら診療を受ける部門である。

・外来率(年間1日平均外来患者数の病床数に対する比率)は、病院の種類、規模、科目、立地等によって異なるが、平均して1~3程度といわれている。

・近年は、外来部門の高機能化により、これまで入院治療の必要であった疾患であっても日帰り手術が可能なものもある。

重要ポイント

内科のように患者数の多い科は、できるだけ出入口の近くに配置する。

小児科は、可能な限り他科と分離する。

計画上の留意点

(a)診療科目の計画上の留意点

① 内科のように患者数の多い科は、できるだけ出入口の近くに配置する。

② プライバシーの確保が重要な精神科、産科・婦人科などは、通過動線を避けて、出入口が見えない位置にする。

③ 整形外科など歩行の困難な患者の多い科は、1階に配置する。

④ X線部やリハビリテーション部など、診療上のつながりがある部門との関係を考慮する。

⑤ 小児科は、可能な限り他科と分離する。

3)診療部

・医師の診断・治療を一部代行したり、そのための場所を提供する部門であり、検査部、放射線部、手術部を中心に、分娩部、リハビリテーション部などの各部で構成される。

・医療技術の高度化と専門分化に対応して、最も重要な部門となっている。

外来部と病棟部の中間に位置するが、規模の拡大と変化に対応しなければならない。

重要ポイント

外来部と病棟部の中間に設置する。

手術部は、汚染から完全に守られた無菌に近い状態を必要とするため、他部門への通り抜け動線を排除することが重要である。

③外科系病棟、X線室、ICUなど手術に関連性の強い諸室との連絡を重視し、中央材料室は隣接させる。

検査部

直接患者と接することのない検体検査部と、患者の検査を行う生理検査部に分けられている。

① 検体検査諸室
大きな病院では自動検査装置が導入され、中小の病院ではコスト削減の考えから外部委託し、検体検査部の面積は減少しつつある。

② 生理検査諸室
内視鏡や超音波検査は、最近では治療にも使われるようになり、広い室面積を求められる傾向にある。

③ 解剖室
他の動線との交錯、病室からの距離、他からの視線に配慮を要するので、病棟の地下階となることが多い。

放射部

① 防護対策が必要な部門

・X線診断の利用者は、外来が80%ほどを占めるため、X線診断部は、外来部と病棟部の中間に配置し、外来部に接して置かれる。

・X線室は、100床当たり2室以上が一般的である。

・X線の防護対策として、壁面などはコンクリート厚15cm、ドアは1.5mm以上の鉛板張りとする。

・MRIを設置した室内の天井、床、壁面は、磁気シールドを施工する必要がある。

② 放射線治療部

・放射性同位元素(RI)を用いての治療を行う放射線治療室は、利用上の便よりも放射線の防を考慮する必要があり、地下または別棟に配置されることが多い。

4)病棟部

・患者が入院して診療・看護を受ける部門であり、1日中生活する場としての機能を要求されている。

病院全体に占める面積の割合は35~40%と大きく、中心的な部門でめる。

・病棟は、病室部分、看護諸室と通路階部分で構成されており、病棟全体面積に対する比率は、病室部分40~50%、看護諸室20~30%、通路階段・設備関係のスペースは30~40%程度である。

重要ポイント

病棟部の面積は、延べ面積の35~40%程度とする。

1看護単位の病床数は、「原則して60床以下」、「内科・外科で40~50床」、「産科・小児科で30床程度」である。

③ 病室の出入口の幅は、ストレッチャーなどの出入りのため1.2m以上が望ましい。

④ ナースステーションは、病棟中央部で、階段やエレベーター等の近くに設置する。

ICUは、高度な設備によって、重症患者に、短期間で集中的に治療・看護を行うユニット。手術部に近接させ、50~60m/床程度以上必要である。

用語集

① 看護単位
・1看護チーム(10数名)が担当する患者グループのまとまりをいう。
1看護単位当たりの病床数は、原則として60床以下が標準とされており、内科、外科は40床程度が望ましく、産科、小児科は30床程度とされている。

② 看護勤務室(ナースステーション、スタッフステーション)
・看護動線の短縮や観察の容易さを確保するため、ナースコーナーなどを設けて病棟内に分散させる試みも見られる。
電子カルテを導入すると、情報共有、一元管理、紙カルテ運搬作業の削減というメリットがあり、作業領域の分散化が図りやすくなる。

③ ICU (Intensive Care Unit:集中治療室)
重症患者に短期間で集中的に治療・看護を行うことによって、病状を改善することを目的とし、最新の医療機器と、多数の人材が重点的に配置される。
・ICUの1看護単位は10床程度であり、一般に、1床当たり50~60m程度以上必要とされている。
・ICUは病棟の一部として扱われるが、手術部に近い位置が望ましい。

④ CCU (Coronary Care Unit:冠動脈疾患集中治療室)
主に心筋梗塞や狭心症で、急性発症し緊急の処置・管理を要する患者のための集中治療室をいう。

⑤ SCU (Stroke Care Unit:脳卒中集中治療室)
脳卒中を急性発症し、緊急の処置・管理を要する患者に対して、専門の医療職が急性期医療及びリハビリテーションを組織的・計画的に行うための集中治療室をいう。

⑥ NICU (Neonatal Intensive Care Unit:新生児特定集中治療室)
出産後問もない病的な新生児のための集中治療室をいう。

⑦ PICU (Pediatric Intensive Care Unit:小児集中治療室)
救急搬送された重篤な小児患者や心臓病などの難病疾患をもつ小児患者など、生命が危険な状態にある15歳未満の小児重症患者のための集中治療室をいう。

⑧ HCU (High Care Unit:ハイケアユニット、準集中治療室)
・ICUを退室後も継続して集中治療が必要な患者に対し、一般病棟よりも手厚い体制を整えている治療室をいう。
・一般病棟とは看護師配置などを分け、ナースステーションも独立して設置される。

⑨ PCU (Palliative Care Unit:緩和ケア病棟)
・治癒不可能な疾患の終末期にある患者および家族のために、安らかな最期を迎えられるよう医療・介護が行われる。
・緩和ケア病棟の病室は、8m/床以上とし、一般に、個室で便所は病室の中に設けられている。
共用部には患者や家族が利用できる調理室や食事室を設置するなど、QOLを高める計画が望ましい。

病室

・生活の場でもあるので、日照や騒音などの外的環境条件を重視しなければならない。

病室の形態は4床室が主流であるが、最近は、プライバシーを確保するため、個室に対する要望も強くなってきている。

病室の床面積の最低基準は、6.4/床以上である。
ただし、小児だけを入院させる病室の床面積は2/3以上とすることができる。

出入口の幅は、ストレッチャーやベッドでの移動のため1.2~1.5m程度必要である。

小児病棟

・小児は、免疫機能が未発達で抵抗力が弱いため、小児患者のための病床は、診療科ごとに設けるのではなく、小児病棟としてまとめて設けなければならない。

・小児病棟の計画においては、入院する子どもたちの教育や学習の場として、院内学級のための教室を設置することがある。

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