
どうも
一級建築士のペディです!
今回は、公共施設のなかでも、
図書館、博物館、コミュニティ施設、市庁舎について解説!
特に図書館は、よく出るので注意です
・一級建築士試験を受験する人
・二級建築士を受験する人
・建築の勉強を頑張りたい人
目次
1.図書館
重要ポイント
① 地域図書館は、開架式が望ましい。
② 地域図書館の規模計画の目安は、約50冊/㎡で概算できる。
③一般閲覧室の面積は、4~6人掛けの場合は、1.6㎡/人程度
④ 開架式の書架間隔は、車いす同士のすれ違い等を考慮して、225cm程度とする
⑤ 書架の収容量は、「開架式書架:170~180冊/㎡」「閉架式書架:230~280冊/㎡」「集密書架:440~640冊/㎡」
⑥ 貸出し用のカウンター高さは、子供や車いす使用者に配慮して、上端で70~75cm程度。
⑦ ブラウジングコーナーは、開架覧室の入口近くに設ける。
⑧ レファレンスコーナーは、開架閲覧室の出納デスクの近くに設ける。
1)接架・出納方式
1-1) 開架式
・閲覧者が本を自分で書架から取り出して選び、そのまま検閲を受けずに閲覧できる。
・利用者にとっては、実物を見ながら選択することができるので便利である。
ただし、本の傷みや紛失事故が多く、管理上の問題が多い。
・地域図書館、児童用図書では、開架式を採用することが多い。
1-2) 閉架式
・関覧者は直接書架に接することができず、目録などによって本を選び、館員に取り出してもらうため、貸出記録の提出を必要とする。
・管理者上からは望ましい方式である。ただし、利用者側としては、書名、著者名、出版社から目的とする書籍を見つけ出すのは難しい。
・大規模な図書館では貴重な資料も多いため、管理上、閉架式を採用することが多い。
2)計画方針
2-1) 地域図書館
① 資料提供は開架方式として、レファレンス資料を含め一室に配架する。
② 主に本が中心だが、近年は視聴覚資料の充実も図る。
③ 資料の貸出しとともに、館内関覧も可能なように閲覧席を設ける。
④ OPAC は、集中配置ではなく、分散配置が望ましい。
⑤ 少人数の館員で館内のサービスが行き届くような計画とする。
⑥ 利用者にとって親しみやすく、入りやすい計画とする。
2-2) 広域参考図書館(県立図書館など)
① 開架閲覧室は大規模となるが、なるべく室や階で分断しないよう考慮する。
② 閲覧室は資料の種類、研究の形態、閲覧時間などを考慮し、いろいろなタイプを用意し、パソコンの使用も考慮する。
③ 利用者のデータベース検索としてのOPACを十分用意する。
④ 大量の資料を所蔵する広域参考図書館では、収納効率のよい閉架庫の充実と出納カウンターを結ぶ機械搬送設備や自動出納化も考慮する。
⑤ 将来の閉架庫増築を見込む計画が必要である。
3)書庫・書架の細部計画
① 入庫のチェックのしやすさ、使いやすさ、非常時の安全性を考慮する。
② 平面計画は、できるだけ多層化せず平面的に広がったものとし、正方形に近い方が有利である。
③ 書架の収容力は、1連寸法90cmの棚板に、一般書で30冊、児童者(絵本を除く)で45~50冊程度収容できる。書庫の大きさは、書架の形式、出納システムによって決まる。
④ 書架の種類は、床置き型の標準的書架、保存用の閉架書庫で用いられる積層書架、利用頻度の低い資料を保管する集密書架などがある。
また、ICタグ方式を用いて図書の位置管理を行い、書庫内の搬送を無人化した自動化書庫も導入されている。
⑤ 資料の保管に、温湿度の変化、直射日光、ほこりなどは有害なので、書庫は、無窓とし、空調によって温湿度を管理することが望ましい。書庫内の温湿度条件は、22土5°C、60土5%が一般的である。
2.博物館
重要ポイント
① 1回の観賞の限度は壁面400m程度。適当な位置に疲労を和らげる休憩スペースを設ける。
② 照明は、演色性の良い「ハロゲンランプ」「白熱電球」「高演色蛍光灯」「LED」を用いる。
③ 展示壁面の照度は、一般に、日本画で150~300lx、洋画で300~7501xである。
④ 収蔵庫は、内部と外部の急激な環境変化を避けるために、前室として、ならし室を設ける。
⑤ 燻蒸室は、荷解室から展示室あるいは収蔵庫に至る間に設ける。
⑥ 調査・研究部門は、収蔵部門に近接して配置する。
1)展示部門の計画
1-1)展示方法
展示物への理解を深め、よりわかりやすく正確に情報を提供できる空間作りが求められている。
① パノラマ展示
全景の意味で、写真や風景画等で室内で観客に広い視野の実景を体験させる手法
② ジオラマ展示
縮尺模型等を用い、展示物を浮かび上がらせ、立体的な臨場感を与える手法
③ アイランド展示
壁・天井を直接利用せずに、展示物または展示装置を配置することで展示空間をつくり出す手法
④ ホワイトキューブ
展示作品を阻害するような余計な装飾や色を極力廃して、天井、床、壁を白くし、光天井によって作品のみが浮かび上がるような展示空間のことをいう。
1-2)鑑賞に適した距離
来館者が展示物を鑑賞する際に、最も見えやすいということが展示施設の最も重要な機能である。
絵画等の鑑賞に適した視距離については、展示物の大きさを基にした算定方法がある。
① 対象画面の対角線の1~1.5倍程度
② 対象画面の幅✕1.5倍+20cm程度
③ 目の高さ水平線から上部への視覚(仰角)を27度以内
1-3)採光・照明計画
① 光源
光源を観客の影を展示物に生じさせないような位置に設け、グレアや画面の凹凸、額縁の影、画面の光沢による反射光の拡散を防ぐように考慮する。
② 画面、ガラスケース
画面やガラスケースなどの反射グレアを防止するため、ガラスケースに光源や観客などの像が映らないように周辺を暗くしたり、ケース内の輝度を外より高くする。
また、青みを除去した無色の高透過ガラスを用い、反射を防ぐためガラスの角度を変えたり、曲面状のガラスを用いる方法もある。
③ 自然採光の利用と照明計画
変化の激しい直射日光の入る南側採光を避け、安定した北側採光によって空間全体の均質照度を確保し、展示物ごとの効果的な演出照明をスポットライトで照らすことが多い。
自然採光は、天候・時刻によって色・明るさが変化し、紫外線による退色作用など不利な条件もあるが、自然採光と人工照明を組合せ、展示物が創造された場所、時代と同じような光環境を再現することが望ましい。
展示室の自然採光を補う人工照明は、演色性の良いハロゲンランプや白熱電球、高演色蛍光灯、LEDを用い、熱による損傷を防ぐため防熱フィルターや反射板を設けることが多い。
④ 展示物の照度
一般に日本画で150~300x、洋画で300~750 Ixである。
日本画は、光に弱い和紙などを使用するため、洋画よりも照度を低くする。
また、影刻は立体感を強調するため、木・紙等で300~750x、石・金属等で750~1,5001x程度必要とする。
⑤ 展示室の輝度分布
展示物と室内全体の輝度比は、10:1程度とすると目の疲労が少ない。
2)収蔵部門の計画
2-1)収蔵庫
資料の保存機能を第一に考え、温度・湿度の調整の設備を必要とする。
特に湿度を考慮して、湿気の影響を受けやすい地下室は避け、搬入荷解き室から収蔵品の移動距離が最短距離になるように配置する。
また、研究部門と収蔵庫、収蔵庫と展示室の動線は短いほうがよい。
文化財の収蔵庫は、保存環境の異なる収蔵品の種類に合わせて、低湿収蔵庫及び高湿収蔵庫に分け、収蔵庫の保存環境を一定に保つとともに、収蔵庫内部と外部の急激な環境変化を避けるために、前室として、ならし室を設けることが望ましい。
収蔵庫の構造は、鉄筋コンクリートの躯体とは縁を切った木造の内壁を設け、その間の空間を空調して外部の温湿度の影響を調整する方法が省エネルギーの観点からも望ましい。
収蔵庫や展示室の消火設備は、水損を考慮してスプリンクラー、水噴霧、泡消火などは使用せず、環境対策の観点から不活性ガス(イナートガス)消火設備などを用いる。
2-2)収蔵庫関係諸室
① 荷解き室
資料の出入口と直結させ、作業に必要なスペースを確保する。
展示室へ直接運搬できるように、荷物用エレベーターを設置することもある。
② 燻蒸室
収蔵品に付着した、カビや害虫等をガスで消毒し、駆除することを目的とした部屋であり、有毒ガスが外部に漏れないように気密性が要求される。
荷解き室から展示室あるいは収蔵庫に至る間に設ける。
3.コミュニティ施設
これだけ抑えておきたいポイント
①設計・管理・運営の段階に至るまで、住民を交えて進めることが有効である。
② 類似施設を複合化することによって、単独施設の場合に比べて、有効面積の増加と投資負担の軽減できる。
③ 高齢者の利用する施設と子供達が利用する児童館を併設する場合は、両者の出入口は分離する。
1)立地・計画上の留意点
コミュニティ施設の立地は、主に、人口分布、交通条件、生活圏域の状況等を考慮して決定される。
また、不特定多数の利用者の多様なニーズに応えることと運営・管理者の創意・工夫が可能であることが求められるため、「わかりやすく、使いやすい空間計画」、「できるだけオープンな構成」で、「各室のつながり」や「弾力的な運営」、「利用者の立場に立った計画」に留意した計画を行うことが望ましい。
コミュニティ活動の拠点になることが求められるので、運営・管理へ参加する住民ボランティアのための室の設置や、一部を夜間開館するための夜間専用出入口・カードキーの導入等を考慮することが望ましい。
2)複合化計画
コミュニティ施設の複合化計画においては、お互いの施設を利用し合うために、動線をいかに分離または結合するかが設計上の重要な課題となる。
なお、類似施設を複合化することによって、建築物、資料、器材、備品等の管理を一元化し、設備関連諸室のみならず、玄関ホール・廊下・階段・エレベーターなどのスペースも共用化でき、単独施設の場合に比べて、有効面積の増加と維持管理費の軽減というメリットが得られる。
高齢者の利用する施設と子供達が利用する児童館を併設する場合は、両者の生活・行動などが異なるため、出入口は分離することが望ましい。
4.市庁舎
1)機能
市庁舎の特徴は、議会を持つことであり、機能構成は、行政関係部門と議会関係部門に分かれる。
施設の利用者には、市民、職員、議員が含まれ、利用する目的、用途、行動などが異なるため、動線を適切に分離する必要がある。
したがって、エントランスの計画も、市民が日常利用するメインエントランス、職員・サービスのエントランス、議会用のエントランスをそれぞれ別に設けることが望ましい。
また、市庁舎の行政部門の窓口は、来庁者の70~80%程度が利用するといわれているので、メインエントランスに接した分かりやすい場所に設けることが望ましい。
床面積のうち最も多くを占めるのは市民が接する窓口事務と行政の執務を担当する一般事務であり、両者で全体の約20%程度を占めている。
市庁舎の延べ面積に対する窓口事務部門の床面積の比率は、一般に、10%程度である。
また議場、委員会室、議員控室等の議会関連諸室の床面積の割合も、10%程度である。
2) 窓口
以前は、担当する課によって分かれていたが、近年は、情報化の進展に伴い、1箇所で様々な種類の業務に対応できる「総合窓口形式」、「ワンストップ窓口形式」と呼ばれる形式に変わりつつある。
窓口部門は主に事務手続きを行うカウンターと、手続きの処理を待つ答の待合スペースで構成されるが、カウンターは受付窓口と交付窓口に分かれるのが一般的である。
届出の受理には書類のチェックや相談等ある程度の時間がかかることが想定されるためローカウンターとし、利用者は座席に座り職員と対面して手続きを行う。
一方、証明証の発行は短時間で済む場合が多いので、立ったまま手続きを行う 2段型カウンターが採用されることが多い。
車椅子使用者用受付カウンターの天板の高さは70cm程度とし、下部に足及び車椅子のフットレストが入るように、高さ60~65cm程度、奥行き45cm程度のクリアランスを設ける。
3)議場
議場は、行政部門とは別組織であり、大空間が要求される場合が多いため、配置としては庁舎の最上階に設置される場合と関連部署とともに別棟として設置される場合がある。
議場に必要な要素としては、議長席、副議長席、理事長席、講演台、速記者席、議員席、記者席、傍聴者席がある。
基本的に机は並びを保つために床に固定されているが、近年ではシンポジウムやコンサートなどの多目的な利用を想定した可変性のある議場も増えてきている。
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