学科Ⅰ(計画)/”居住施設”と”教育施設”について解説!重要ポイントを覚えておこう!

一級建築士試験

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・一級建築士の受験を考えてる人

・建築に興味がある人

・専門用語の意味を知りたい人

1.独立住宅とは

1-1)平面構成

① コア型住宅
水廻り空間を建物の中心に集約して配置した独立住宅。

② コートハウス
塀や建物で囲まれた中庭(コート)を有する独立住宅。
採光・通風、プライバシーは確保しやすいが、街並みは閉鎖的。

1-2) 屋根

① 屋根葺材と屋根勾配
 ・日本瓦引掛け桟瓦葺・・・4/10程度
 ・繊雑強化セメント板葺・・・3.5/10程度
 ・アスファルトシング”葺・・・3/10程度
 ・金属板瓦棒葺・・・2/10程度
 ・金属板平葺・・・2.5/10程度
 ・アスファルト防水・・・1/100程度


一文字葺きは、瓦棒よりも勾配を急にする必要がある。

③ 落雪屋根
屋根面に雪を残さないように下に落とす方法。

④ 無落雪屋根
屋根の上に雪をため、溶けた水だけを下に流す方法。

2.集合住宅とは

2-1) 低層集合住宅(接地型

低層集合住宅とは、1~2階建の接地性の高い住宅であり、各住戸に区分された連続住宅等である。

① テラスハウス
区画された専用庭をもつ接地型の各住戸を、境界壁を介して水平方向に連続させた低層集合住宅。
日照、通風、プライバシーの条件がよい。専用敷地の確保が優先されるため、街並みが画一的となりやすい。

② タウンハウス
接地性を確保しながら、コモンスペース(共用庭)と呼ばれるまとまりのあるオープンスペースを住棟間に配置し、居住環境の向上を目指した低層の集合住宅である。
共用庭は、コミュニティの活性化を図るほかに、住棟間のプライバシーを確保するための緩衝スペースとしても機能させることができる。
特に、コモンスペースを介して、各住戸へアクセスするコモンアクセス形式とすると、近隣交流の機会を増大させる効果が期待できる。なお、コモンスペースと反対側の道路側から各住戸へアクセスする形式を路地アクセスという。

22)中高層集合住宅(非接地型

住戸の居住性は、各住戸の接し方、高さ、形状、平面や断面の形状によって通ってくる。

① 階段室型
各住戸へ階段室で直接アクセスし、1階段当たり各階2戸が一般的である。
各住戸は2面(端部は3面)の開放面を持つので、採光、通風、プライバシーの確保は有利。
しかし、エレベーター設置の効率が悪いので高層化すると不利で、二方向避難の計画も難しいことが点である。

② 片廊下型
エレベーターの利用効率がよく、二方向避難計画も容易である。
しかし、席下が歴外に対して開放されていても、席下側からの採光、通風には限度があり、騒音やプライバシーの確保に難点がある。

③ 中廊下型
土地の高度利用を図ることを目的とした都心型の住棟に道し、共用部分の面積割合を低くできる。
しかし、住棟の方位による日無の条件の違いや片席下型の点が大きくなる。
そのため廊下を南北軸とするのが望ましい。

④ ツインコリドール型
片席下型を中島下形式に合わせ、中間に吹抜け空間を設けたもので、中廊下型の大点を改善したもの。
しかし、共用部分の面積は大きくなり、共用席下を通って住戸に達する形式であるため、下側のプライバシーは確保しにくい。

⑤ スキップフロア型
2~3階おきに廊下を設け、他の階は廊下から階段を利用する形式で、住戸の居住性は、階段室型と廊下型に準じている。
共用廊下部分の面積割合を低くすることができ、エレベーターの効率化が図れる。しかし、停止階以外の階への到達距離が長く、避難計画も難しい。

⑥ コア型・ホール型・ボイド型
コア型・ホール型は、各階ごとに集中ホールを設け、3戸以上の住戸にアクセスする形式である。最も高密化でき、共用部分も低減することができる。
しかし、避難計画が難しく、住戸の方位、プライバシーの確保にも難点がある。また、共用部分が閉鎖的になりやすい。

ボイド型は、コア型・ホール型の共用廊下部分に吹き抜けを設けた形式である。共用部分に吹き抜けがあるため、上下階からの見通しを確保することができ、閉塞感は緩和される。

3)断面形式による分類

① フラット型
1住戸が同一階に収められた形式である。限られた面積を有効に使用でき、構造的にも簡明であるため、最も多用されている。

② メゾネット型
1住戸が2層以上にわたる形式である。共用面積は小さくでき、エレベーターの効率等も良くなるが、構造・設備計画上は複雑となる。住戸内に階段を設けるため、比較的大規模な住宅に適している。

3.集合住宅の設計方法について

① グルーピング・計画単位
廊下・階段等の住戸へのアクセス路を日常的に共有する住戸群は、適正な戸数にグルーピングして計画することで、住戸の近隣での匿名性の回避、居住の安心感や共有意識の育成に有効となる。
グルーピングの住戸数は、一般に、20~30円程度が上限とされている。

② フロンテージセーブの手法
高密度の集合住宅の計画においては、出来るだけ家賃や住宅価格を低くおさえるために、住棟に多くの住戸を配置することが水められるので、一般に、住戸の奥行きを深くして間日を狭くするフロンテージセーブの手法が用いられる。
低・中層住宅の計画において、住棟の内部にライトコート(光庭)やライトウェル(光井戸)を設けると、住戸の奥行きが深い場合にも採光、換気、通風にある程度の効果は期待できる。ただし、高層住宅には適用できない

③ 高階高住戸
集合住宅特有の規制された居住空間から脱却する一つの手法として開発されたもので、住戸の階高を一般の集合住宅の1.5倍程度(4.5m程度)確保にすることによって、「開放的で豊かな居住空間(3.5m程度)」と「複層利用による豊富な収納スペース」を持つ形式である。
ただし、住戸内に段差が生じるため、高齢者に配感した(バリアフリー)計画も重要である。

④ リビングアクセス型
住棟内のコミュニティ形成を目的として、共用廊下側に居間や食事室を設け、住戸内空間と外部空間をなじませる型式である。

⑤ 二段階給方式(スケルトン・インフィル方式、SI方式)
集合住宅において、各住戸の間取りや仕様を入居者が注文できるように考感した方式である。
第一段階で、「柱、梁、床(スラブ)等の軽体部分」と「席下、エレベーター等の共用部分(共用部分の設備を含む)」まで設計し、実際の入居者が決定した除(第二段階)で、その注文に応じて開取り、内装、設備等について計画し工事を行う方式である。
第一段階は、建物の骨格などの供給となるので「スケルトン」といい、第二段階は、建物の内装などの供給となるので「インフィル」という。

⑥ コーポラティブハウス(協同組合運営方式)
自ら居住のための住宅を建設しようとする者が組合を結成して、企画・計画から建設・管理まで行う協同組合運営方式の集合住宅である。
住戸計画に各自の要望を反映できるが、建設までの期間が長くかかる場合が多い。

⑦ コレクティブハウス(協同居住型)
個々のプライバシーを尊重しつつ、居住者の相互扶助活動を活かして、円滑な日常生活が営めるように、共同の食事室・調理室・託児室・洗濯室などの共用施設を住棟内に設けた協同居住型の集合住宅である。

⑧ シェアハウス
ひとつの住戸を複数の入居者で分け合って居住する形式である。キッチンやバス・トイレ等は共有であるが、プライベートな個室は共有せず、最低限のプライバシーは守られている。

⑨ ストリート型住宅
集合住宅の接地階部分において、居住者が日常生活の延長として、街並みの形成に参画できるような配慮を行うことによって、街路の活性化を意図した集合住宅の住戸形式をいう。

3.教育施設とは

3-1) 保育所・幼稚園

① 乳児室の面積は、1.65㎡/人以上(保育室と兼用NG)

② ほふく室の面積は、3.3㎡/人以上(保育室と兼用NG)

③ 保育室または遊戯室の床面積は、1.98㎡/人以上

④ 乳児室と保育室(遊戯室)は分離する。

⑤ 3歳児の1人当たりの保育室面積は、4・5歳児よりも広く計画する。

⑥ 便所は保育室に隣接させる。便所の扉は大人が見守れる高さ(100~120cm程度)とする。

⑦ 子ども用手洗い場(洗面器)の高さは、一般に、床面から50cm程度とする。

※ 幼稚園と保育所の違い
幼稚園と保育所は、法律による区分はあるが、ともに就学前の幼児施設であり、実際の運用面では、共通の課題を持っている。
建築計画上の相違点は、対象幼児の年齢構成、保育時間、給食施設の有無などである。

32)学校

① 普通教室
広さは7mx 9mが最低限必要。児童1人当たり1.6㎡程度

②特別教室
小学校では、低学年よりも高学年の教室の近くに配置する。
小学校の理科教室、2.0~2.5㎡/人、中学校の理科教室、3.0㎡/人

③図書館
学校の中心に配置する。メディアセンターとしての機能も担う。

3)屋内運動場(体育館等)

① 体育館
防計画上、長軸を東西方向に配置し、自然光と夏期の通風換気に配慮する。
大きさは、バスケットボールコート2面並列を基準とし、高校の場合、32✕41m程度必要。

② 屋外球技場
太陽光線によるまぶしさを避けるために、長軸を南北方向にとる。

④ 天井高
バレーボール・・・12.5m以上(センターライン)、10.5m以上(エンドライン)
屋内テニス・・・12m以上
武道場・・・4.5m以上

4.覚えておきたい関連用語ー居住施設

※ ▶印をクリックで意味が表示されます。

プレファブ(プレファブリケーション)

プレファプとは、事前に工場で部材・部品の生産や加工、組み立てを行い、現場で所定の位置に取り付けて完成させることをいう。
一品生産でもプレファブ化されることもある。建築部材の工場生産により、精度の向上、品質の均一化、大量生産を図ることができ、施工現場の省力化、工期短縮などにも効果がある。

プレカット方式

木造在来軸組工法の部材の接合部などを、工場であらかじめ加工する方式

無双四分ー

床の間等に掛け軸を掛けるために設ける和風のピクチャーレールである。
天井の回り後部分に取り付ける舞い横木で、1寸5分程度の角材に溝穴を掘り、稲表町を溝に沿って自由に横移動出来るように取り付けたものをいう。

コモンスペース

居住者が共同で使用する通路や広場、庭などのオープンスペース。

順応型プラン

住戸の規模を変えないで、住戸内部のDKや洋室等の間仕切を変更できるようにし、生活の経年的変化と入居者の多様な要求に対応しようとしたもの。

ベイバルコニー

架構の内部に入り込ませた奥行きのあるバルコニーのこと。まとまったスペースを確保できる。

ライトコート・ライトウェル

建物内に設けられる中庭のこと。
建物の内部に吹き抜けのスペースを作り、窓を設けて、「採光・換気・通風」を得る。

スマートウェルネス住宅等推進事業

「サービス付き高齢者向け住宅の整備」、「住宅確保要配慮者専用の住宅への改修」、「介護予防や健康増進」、「多世代交流等を考慮した先導的な住環境整備に係わる取組」等に対して、国が支援を行うもの。

マンション管理適正化法

マンション管理士の資格やマンション管理業者の登録制度を設ける等、マンション管理の適正化を推進するための措置を定めることにより、マンションの資産価値を守り、快適な住環境が確保できるようにとの目的から制定された法律。

水防ライン

浸水を防止することを目標として設定するライン。
対象建築物等を囲むように水防ラインを設定し、ライン上の全ての浸水経路において、止水板等を設することで、ラインで囲まれた部分への浸水を防止し、電気設備の漫水リスクを低減することができる。

5.覚えておきたい関連用語ー教育施設

※ ▶印をクリックで意味が表示されます。

ホームベース

教科教室型のクラスや生徒の生活拠点となるスペースである。
学活等を行うことはできるが、授業は行わない。教室移動の際に立ち寄りやすい位置に設ける。

児童養護施設

要養護児童(保護者がいないか、または保護者の養育にゆだねることが適切でないと判定された児童)
が入園する施設。
日常的な基礎生活を小集団単位で充実して行えるように寝室、居間、食堂、学習室などで構成され、社会的自立を目指すことを目的とした施設である。

学校ビオトーブ

学校敷地内に設けられ、「児識・生徒ならびに学生の環境教育の教材として、学校敷地内に創出された地城の野生の生き物が自立、循環して暮らすことのできる空間」をいう。
児童・生徒・学生が地域の自然を学び、ひいてはこれらを自分たちが守り育てることにつながることが期待されている。

プラトゥーン型

全クラスを時間帯で普通教室群と特別教室群に二分し、何時間かごとに入れ替える運営方式。
過去には実例があったが、現在は国内では存在しない。

学年内教科教室型

国・社・英・数の教室を学年毎のまとまりを作って配置し、その中で教科教室型運営を行う方式。
学年クラス数が4クラス以上の場合に有効。

チームティーチング方式

複数の教師が協力して行う学習方式。
集団学習のできる大教室やオープンスペースを設ける必要がある。

プログラム学習方式

単元やステップ毎に用意された教材を生徒が借り受け、個別に学習を進める方式。
学習センターやメディアセンターを設ける。

メディアセンター

従来の学校図書館の機能を発展させる施設。
図書だけでなく、その他の印刷物・スライド・テープ・ビデオ・コンピューターソフトなどを総合的に集め、管理する場所。

特別支援学校

障がい者等が「幼稚園、小学校、中学校、高等学校に準じた教育を受けること」と「学習上または生活上の困難を克服し自立が図られること」を目的とした学校。

特別支援学級

通常の小学校や中学校内に置かれる学級のこと。
通常学級での学習指導が難しい児童を対象に、少人数制のクラスで授業を行い「個々に合わせた適切な学習を行うこと」を目的としている。

6.過去問出題

  • R06 住宅地・集合住宅の計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
    1. 防災集団移転促進事業は、災害が発生した地域又は建築基準法に基づく災害危険区域のうち、住民の居住に適当でないと認められる区域内にある住居の集団的移転を促進することを目的としたものである。
    2. ボンエルフ方式は、住宅地内の道路の計画において、シケインを用いて車の通行部分を蛇行させるなど、スピードを落とさせることにより、歩車共存を図ることを目的としたものである。
    3. コレクティブハウスは、自ら居住する住宅を建設しようとする者が集まって結成した組合によって、事業計画の策定、建築物の設計、工事発注から住宅の管理・運営までを行うものである。
    4. デュアルリビングは、住宅内に接客用のリビング(フォーマルリビング)と家族用のリビング(ファミリーリビング)のような、異なる機能をもつ2つのリビングを設けるものである。
答えと解説

3 
設問の記述は、コーポラティブハウスに関する内容である。
コレクティブハウスとは、個々のプライバシーを尊重しつつ、居住者の相互扶助活動を活かして、円滑な日常生活が営めるように、食事室・調理室・託児室・洗濯室などの共用施設を住棟内に設けた協同居住型の集合住宅である。

  • R05 高層の分譲集合住宅の新築計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
    1. 一度期に多くの住民が住み始めるので、人口構成のバランスに配慮した多様な住戸平面とし、低層部に保育所と高齢者の通所施設を設置する計画とした。
    2. 自治体によるハザードマップの浸水想定が1.5mの区域内にある敷地であったので、建築物の外周等における水防ラインを設定し、高圧受変電設備と非常用発電機を屋上等の浸水リスクの低い場所への設置を計画した。
    3. 長期修繕計画作成ガイドライン(国土交通省)」に基づいて長期修繕計画を作成するに当たり、建物・設備、調査・診断、修繕計画内容、修繕積立金等について、計画期間を30年間と設定し、その間に大規模修繕工事が1回含まれる内容とした。
    4. 「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」における長期優良住宅の認定を受けるため、住戸の躯体天井高さは認定基準を満たし、居住者のライフスタイルの変化等に応じて問取りの変更が可能な措置を講じた。
答えと解説

3 
近年、管理不十分なマンションが増加している懸念から、和2年6月「マンション管理適正化法」が改正され、令和3年9月「長期修繕計画作成ガイドライン(国土交通省)」も改定された。
下記の改正点に注意が必要である。
① 計画期間は30年以上、かつ大規模修繕工事が2回含まれる期間以上とする。
② 長期修繕計画は5年程度ごとに建物の調査・診断を行い、その結果に基づいて見直すことが必要。
③ 長期修繕計画の見直しと併せて、修繕積立金の額も見直すことが必要である。

  • R05 公立小学校・中学校等の計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
    1. 施設一体型の義務教育学校の計画において、小・中学校段階の教職員が連携し、教育内容の充実や学校運営の円滑化を図るため、共同の職員室とした。
    2. 特別支援学校の計画において、聴覚障害児童・生徒に対応するため、普通教室に発音・発話の練習に利用する鏡や、練習後の手洗いやうがいのための流し台を設けた。
    3. 小学校の図書室と公立図書館とを一体整備した小学校の計画において、建築物移動等円滑化誘導基準に合わせ、両側居室の廊下幅を1.8mとした。
    4. 小学校の内装の木質化計画において、板材単体での吸音性能は低いので、普通教室の天井や壁に木板を表面材とした孔あき板等を用いることで、残響過多とならないように配慮した。
答えと解説

 
小学校の図書室と公立図書館とを一体整備した小学校の計画では、建築基準法施行令第119条により、両側居室の廊下幅は、2.3m以上としなければならない。

  • R02 子どもに関わる施設に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
    1. 幼稚園と保育所の施設を共用化した認定こども園において、遊戯室、調理室、管理諸屋外環境等は幼稚園と保育所の共用の空間として計画した。
    2. 総合病院における小児患者のための病床は、疾病ごとの特徴に対し的確に対応できるように、診療科ごとにそれぞれ設けた。
    3. 放課後等デイサービス事業所において、屋外遊びを豊かにするために、学校と連携して校庭等を有効に活用した。
    4. 義務教育学校(小中一貫校)の特別支援学級関係室においては、9年間の系統性・連続性のある教育活動や一貫した支援を効果的に行えるように、小学校と中学校の配置や室構成を計画した。
答えと解説

 
小児は、免疫機能が未発達で抵抗力が弱い。
そのため小児患者のための病床は、診療科ごとに設けるのではなく、小児病棟としてまとめて設けなければならない。

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