
どうも
一級建築士のペディです!
今回は、あまり出題頻度が高くない職業倫理と建築計画について解説します!
出題頻度があまり高くない科目だからこそ、周りの人と差を付けやすい科目です
過去10年間で、20点中1~2点分出題されており、足切り回避するためには、落とせない科目となっています!
・一級建築士の受験を考えてる人!
・これから建築の勉強を初めようと思っている人
・建築に興味がある人
1.職業倫理とは
① 建築士の免許
「一級建築士は国土交通大臣の免許」を受け、「二級建築士及び木造建築士は都道府県知事の免許」を受なければならない。
②業務に関する規制(建築士法)
「名義貸しの禁止(第21条の2)」、「法令達反行為の指示、相談等の禁止(第21の3)」、「構造計算によって建築物の安全性を確かめた旨の証明書の交付(第20条2項)」「宿用失墜行為の禁止(第21条の4)」
③ 専門家としての高度な注意義務(民法644条の善管注意義務)
この義務を怠り損害が生じた場合には契約に明記されていなくても過失責任が問われることがある。
2.建築計画とは
2-1) 環境に配慮した建築計画
① 地球環境・建築憲章(建築関連5団体により制定)
「建築はそれ自体完結したものとしてでなく、地域の、さらには地球規模の環境との関係においてとらえられなければなりません。」と示されている
② カーボンニュートラル
日本政府は、2050年までに温室効果ガスの排出を全体として実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を目指すことを言。実現のために、省エネルギー性能の確保や向上への取り組み、再生可能エネルギーの導入拡大等が求められている。
③パッシブデザイン
建築自体のデザインにより建物内外に生じる熱、空気などの流れや光を制御し、暖房効果、冷房効果、照明効果等などを積極的に得ることを意図した設計手法。(設備的手法はアクティブデザイン)
2-2) 周辺環境を考慮した建築計画
①外部空間の開放感と閉塞感(メルテンス理論)
街路、路地、中庭など複数の建物に挟まれたり、囲まれた空間の開
放感や閉塞感などは、その空間の断面方向のプロポーションである
D/Hが目安となる。
②建物形状によるビル風の緩和
高層建築物による風害(ビル風)を防ぐためには、建設地における風の発生しやすい方向に対して、風面(見付面積)を小さくするように計画する。
③ヒートアイランド現象の緩和
都市部にある建築物の屋上に高反射性塗料を塗ることにより、ヒートアイランド現象を抑制する効果が期待できる。
④SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)
2030年までに貧困などを撲滅し、誰一人取り残さない、持続可能でよりよい社会の実現を目指す世界共通の17の開発目標からなる。MDGsの残された課題や新たに顕在化した課題に対応することを目指し、17目標(ゴール)と169のターゲットで構成されている。その枠組みとして以下4点があげられる。
①持続可能な開発のための2030年に向けた国際目標
②全ての国、全ての地域に普遍的に適用
③ゴール・ターゲット・インディケーターの三層構造
④ 進捗状況のモニタリングと評価
3.覚えておきたい関連単語
※ ▶印をクリックで意味が表示されます。
善管注意義務
建築士は設計や工事監理業務に当たり、法的・技術的判断のもと、専門家としての高度な注意義務(民法644条の善管注意義務)を負う。この義務を怠り損害が生じた場合には、法律に定められていない内容であっても、契約に明記されていなくても過失責任が問われることがある。この注意義務については、設計業務では、構造上の安全性や仕上げの安全性、設備設計、材料の選択、近隣対策、建築主の要求、著作権の侵害などが該当する。
モラルハザード
近年では「倫理観の欠如」と訳され、企業などが節度のない利益追求に走るような、倫理観や責任感のけた状態を示している。本来は、保険固有の概念を示す用語である
公益確保の責務
「公益確保の責務」は、技術者の倫理的義務の一つであり、「公衆の安全、健康及び福利を最優先に考慮すること」をいう。建築設計にかかわる者は、依頼者の要請に応えるとともに、当該建築物の利用者及び社会に対する公益性に配慮して、公正な立場で業務を遂行することが重要である。
公益通報
公益のために事業者の法令違反行為を事業者内部の労働者が通報することであり、いわゆる内部告発のことである。通報の種類には、労務提供先等に対する「内部通報」、行政機関に対する「行政機関への通報」、「外部通報」の三つの種類がある。
「公益通報者保護法」は、保護要件を満たして「公益通報」した通報者が、解雇その他の不利益な取扱を受けないようにする目的で制定された。なお、保護される対象には公務員も含まれる。
コンプライアンス
法令遵守と訳され、法令・条例等の守のみに限定されず、企業倫理等の常識・通念など社会的な要請に基づく企業規範も含まれる。
不道守行為
個人及び組織を含めて意図的に法令や条例等に従わない行為をいう。
製造物責任法(PL法)
製造物の久陥によって人の生命、身体または財産に損害を被ったことを証明した場合に、被害者が製造者等に対しに損害賠償を求めれることができる法律である。
リスクコミュニケーション
プロジェクト達成にとってのリスク(不都合な情報)の積極的な共有による集団内での意思疎通をいい、その実践が特に重要である。
待ち行列理論
客や患者がサービスを受けるために行列に並ぶような確率的に挙動するシステムの混雑現象を数理モデルを用いて解析することを目的とした理論。
サーマルリサイクル
マテリアルリサイクルが不可能な廃棄物などを単に焼却処理するだけではなく、焼却の際に発生する熱エネルギーを回収・利用することをいう。具体的なサーマルリサイクルの事例としては、清掃工場の排熱を温水の熱源や地域冷暖房などへの活用、ごみ発電、エコセメント化、固形燃料の製造などが行われている。
CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)
一般に、炭素回収・有効利用・貯宙を指し、火力発載所等から排出されるCO2を分離、回収し、CO2を有価物に変換し有効利用、あるいは貯徴する技術をいう。
パッシブデザイン
対象地域の気候特性や風土を知ることから始まり、暖房度日などの地域ごとの基本的な数値はもとより、日中と夜間の風向の違いなど、その敷地特有の微気候を把握する。また、日射や地中温度、放射冷却など、利用可能な自然エネルギー源も把握する。
風の道
建築的な工夫や自然エネルギーの活用によって空調設備への依存を低減しつつ快適な環境をつくるための手法の一つ。
MDGs(Millennium Development Goals)
2000年に開催された国連ミレニアム・サミットで採択された国連ミレニアム宣言をもとにまとめられた開発分野における国際社会共通の目標。達成期限となる2015年までに一定の成果をあげている。
ステークホルダー
直接・間接的な利害関係を有する者や関係者をいう。
パートナーシップ
異なる背景を持った人たちが、多様な知見やアイデアを持ち寄ること。
トレードオフ問題
一方を追求すれば他方を犠牲にせざるを得ないという状況・関係を示す。
Society 5.0
サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会。IOT(Interet of Things)で全ての人とモノがつながり、様々な知識や情報が共有され、今までにない新たな価値を生み出す。
4.過去問出題
- R06 建築士の行う、設計業務等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 建築士は、違反建築物の建築等の法違反行為について、指示をする、相談に応じる等の行為をしてはならない。
- 建築士は、設計者ではなく施工者として建築基準関係規定に違反する工事を行った場合であっても、建築士法により業務停止処分を受けることがある。
- 一級建築士、二級建築士及び木造建築士は、国土交通大臣の免許を受け、設計、工事監理その他の業務を行う者で、常に品位を保持し、建築物の質の向上に寄与するように、公正かつ誠実にその業務を行わなければならない。
- 建築関連5団体によって制定された「地球環境・建築憲章」(2000年)では、持続可能な循環型社会の実現に向けての21世紀の目標として、「長寿命」、「自然共生」、「省エネルギ―」、「省資源・循環」、「継承」に取り組むことを宣言している。
答えと解説
3 建築士法第4条第1項及び第3項により誤り。一級建築士は国土交通大臣の免許を、二級建築士及び木造建築士は都道府県知事の免許を受けなければならない。なお、同法第2条の2に建築士の職責として、常に品位を保持し、公正かつ誠実にその業務を行わなければならないと定められている。
- R02 建築士の職責、業務等に関するの記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 建築士は、新たにつくる建築物について、長期間の使用に耐えるように建築計画の初期段階から十分に検討を行い、完成した後も継続的に適正な維持管理が行われるように配値する必要がある。
- 建築士は、他人の水めに応じ報酬を得て、建築物に関する調査及び鑑定のみを業として行う場合、建築士事務所に所属せずに業務を行うことができる。
- 建築士は、反建築物の建築等の出合道行為について、指示をする、相談に応じる等の行為をしてはならない。
- 建築士は、設計者ではなく施工者として建築基準関係規定に違反する工事を行った場合であっても、建築士法により業務停止処分を受けることがある。
答えと解説
2 建築士法第23条第1項により、建築士は、他人の求めに応じ報酬を得て、建築物に関する調査及び鑑定のみを業として行う場合であっても、建築士事務所を開設して都道府県知事の登録を受けなければならない。
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